【事業性評価講座】会社概要の『カネ』をざっくり把握してみよう!!

 

 

今回は、会社概要で把握すべき『カネ』について紹介してきます。

あくまで概要の把握ですので、さらっと、ポイントを絞って紹介してきます。

 

繰り返しになりますが、会社概要の把握をする目的の1つは、『深堀りをする当たりをつける』ことにありますので、最初から深掘りモードになるのではなく、まずは全体をざっくり把握することからはじめましょう。

 

金融機関の方で、これから事業性評価を始める方、すでに始めているがなんとなくインタビューしている方、会社の方で金融機関の事業性評価対応をしているが(金融機関が)何を聞きたいのか理解できない方等の参考になれば幸いです。

 

『カネ』をざっくり把握しよう

『カネ』と表現していますが、正しくは『定量情報』を把握しましょう、ということです。

 

会社を理解するためには、よく『定性情報』と『定量情報』が大事と言われていますが、単にそれらを別々に把握してもあまり意味がありません。

『定性情報』と『定量情報』を有機的に結び付けて把握することが重要です。

 

例えば、『新製品のおかげで売上が増加傾向にあるんですよね』という『定性情報』を入手したとすると、それだけではダメで、それと抱き合わせで、『増加額、増加率、時期、原価や他の科目への影響額は?などなど』を『定量的』に把握することが重要となります。

 

会社概要の把握段階では、ここまで具体的に把握する必要はないですが、そのきっかけぐらいは把握する必要があります。

これまで、経営者等にヒアリングを実施し、こちらが処理できないくらいたくさんの『定性情報』を入手していると思うので、その『定性情報』にマッチさせる数値の肌感覚、傾向をざっくりつかむ必要があります。

 

金額や率は増加しているのか・減少しているのか、競合他社と比較して高いのか・低いのか、なぜそのような数値となっているのか等を、ざっくりつかむ必要があります。

 

そのためには、会社概要においては、主に以下のような情報をざっくりと収集しましょう。

  • 損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の主要科目の推移
  • 金融機関との取引状況

 

損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の主要科目の推移

以下のような損益計算書(PL)の主要科目を把握しましょう。

  • 売上高
  • 売上総利益(率)
  • 営業利益(率)
  • 経常利益(率)
  • 当期純利益(率)
  • EBITDA(=営業利益+減価償却費)

 

貸借対照表(BS)の主要科目としては以下を把握しましょう。

  • 現預金
  • 売掛金
  • 在庫
  • 買掛金
  • 有形固定資産
  • 借入金
  • 純資産額

 

あくまで一般的であって、その会社の業種やおかれている環境により、把握する勘定科目をもう少し広げたほうがいいケースもあります。

 

例えば、スマートフォンアプリの開発・制作・販売をしている会社だったら、売上高は広告宣伝費に連動するケースが多いので、広告宣伝費も重要な勘定科目として把握すべきです。

また、知財で稼いでいる会社では、無形固定資産も重要となるので把握すべきです。

 

このような勘定科目について1期間だけ把握するのではなく、複数期間で把握します、最低でも3年間から5年間の推移で把握しましょう。

なぜ3年なのか、5年なのかという疑問があると思いますが、2年だと増減は把握できますが(前期と比べて減った増えた)、傾向は把握することはできないです。

イメージとして、数値を点ではなく、線で把握し、その勘定科目の水準はこの程度、推移はこの程度という感じで頭に浮かぶように把握するとよいと思います(グラフをイメージすると分かりやすいと思います)

 

数値が増加しているのか・減少しているのか、どの程度の水準なのか、大きく動いている期はあるか、これまでヒアリングした経営者の話と(おおむね)整合しているか、世の中の動きと(おおむね)整合しているか、などなど疑問を感じ、それを経営者等にぶつけましょう。

 

先ほども書きましたが、ここではあまり深掘りせずに、経営者の話しを引き出し、よりよい情報収集に努めることを優先すべきです。

ある程度の情報がそろってから、いったんすべての情報を整理し、仮説を立てたうえで、深掘りしていきましょう。

 

金融機関との取引状況

貸借対照表(BS)の把握でも、『借入金』を書きましたが、ここでは、もう少し深掘りして情報収集しましょう。

具体的には、以下のような情報を収集します。

  • 取引のある金融機関の顔ぶれ
  • 取引条件(額、率、担保、保証、返済方法等)
  • 借入金の使途

 

金融機関との取引状況を把握することで、その会社を他行はどう評価しているのか、他行の姿勢(前のめりなのか、引き気味なのか、ニュートラルなのか)等、第三者の客観的な評価を間接的に把握することができます。

 

別に、他行が前のめりで貸しているから、横並びするということではなく、他行も何らかの理由があってそのような姿勢・態度をとっているので、それを間接的に把握するだけでも、有用な情報になります。

 

まとめ

今回は、会社概要の『カネ』の把握を紹介しました。

会社を把握するには、『定性情報』と『定量情報』を有機的に結び付けて理解することが重要です。

単に情報を聞くではなく、『ヒト』、『モノ』と『カネ』を有機的に結びつけられるような、ヒアリングを行うことも重要となります。

 

 

最後までお付き合い頂きありがとうございました。